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セントエルモの火

毎日バイトの話ばっかりでもつまらないので、今更ながらこのブログのタイトルの話。

Man in MotionというタイトルはJohn Parrの楽曲”St. Elmo’s Fire (Man in Motion)”からとっている。ちと古いがかっこいい曲なので知らない人はぜひ一度聴いてみてほしい。

上の動画にも映像が使われてる通り、映画「St. Elmo’s Fire」(1985年)の主題歌として有名になった曲だが、別にこの映画のために作られた曲ではない。この曲は元々、脊髄損傷の認知度を上げるためのキャンペーンとして、車椅子で世界中を回っていたアスリートのために作られた曲だという(そのキャンペーンの名称が「Man in Motionツアー」)。上の映画は曲からインスピレーションを受けてタイトルを借り、さらに主題歌として採用しただけっぽい。俺が生まれる前の話なので、そのアスリートのことは知らないが、確かにサビの部分の歌詞に”Gonna be a man in motion, All I need is a pair of wheels”とあるので、車椅子のことが意識されていることが分かる。

俺も映画よろしく、この曲からタイトルを拝借するつもりで、初めはそのまま「St. Elmo’s Fire」にしようと思っていたが、なんか俺のブログにしては響きがカッコ良すぎる気がしたのでやめた。

St. Elmoというのは、キリスト教の信仰で船乗りの守護聖人(パトローナス)とされている聖エルモのことだ。その昔、嵐の中を帆船が航海していると、マストの先端に不思議な青い発光体を見る船乗りたちが多くいた。彼らはそれを、神の使いが嵐から船を守りにやってきてくれた証だと考えていて、St. Elmo’s Fire(セントエルモの火)と呼んだ。セントエルモの火は、船乗りたちにとっては、勇気を与えてくれる希望の光だったというわけだ。

もちろん、実際のところこれは超常現象ではない。嵐で蓄積された電子によって、船のマストのように尖った物体の先端で放電現象が起こっているだけだ。

だが大事なのはそんな科学的解説じゃない。この逸話で俺が惹かれるのは、つまり、確かにセントエルモの火は希望の光だが、嵐の中を航る船でこそ見えるという点だ。雷雲の摩擦の中に身をおいてこそ見える光。陽だまりの中で眠っている時には気付きもしない光。

どうせもう夢も希望もねーわと、一度は冷めて捨てかけた人生だが、逆に言えば俺はそんだけ恵まれていたのかもしれん。どの道クソみたいな人生なら、些細な静電気が希望の光に見えるくらいの嵐の中まで身を委ねてみようという、前職の退社を決意した日の覚悟をブログのタイトルとして残しておきたかった。

まぁ、結局St. Elmo’s Fireだとカッコ良すぎるのでボツになり、その後に続く(Man in Motion)の方を採用したのだが、実質的なテーマは一緒だ。動いて(in Motion)いなけりゃ、帯電しないんだから。

そんな俺が今日もバイトで小銭をもらった帰路、自宅まであと数メートルのところまで来たら、部屋の窓から光がこぼれていた。あれは・・・セントエルモの火・・・ではなく、朝出かける時に消し忘れた蛍光灯だった。クソが!

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