このブログも、あまり中身が無さすぎるというのも、わざわざ覗きに来てくれる読者の皆様に申し訳が立たないというもの。少しは有意義(なように感じる)記事を書こうということで、俺が最近読んだ本を紹介する企画を立ち上げたいと思った次第である。記事カテゴリーが「読書」というだけで、急に意識が高い人間になれるところがステキだ・・・。実際、個人的に読書量が足りてないと日頃思っていた節があるので、これは自分の為でもある。
紹介した本については、なるべくGoogleブックスとかAmazonとか外部サイトのリンクを貼っていくことになると思うが、先に断っておくと、別に紹介した購入を勧めるものでは全くない。今のところこのブログはアフィリエイトでもなんでもないので、リンク飛んだ先で本を購入されても俺にはなんの得もない。ただ、表紙画像の紹介のためぐらいに思ってほしい。
ということで、今回の本は「話すチカラ」(斎藤孝 / 安住紳一郎)
自分のトーク力としては、高い低いはさておき、大学時代がピークとして社会人になってからどんどん衰えているなと感じていた。正確には衰えているというより、学生としてのトークと、社会人としてのトークの質が違うだけなんだろうが。まぁ、とにかくそんなことを悩んでいる時に書店で目に入ったのがこの本である。
著者が斎藤孝明大教授と、安住紳一郎TBSアナウンサーとなっているが、内容としては本として執筆されたというより、安住アナが母校の明大教職課程の学生の前で講談した内容と、安住アナと斎藤教授が対談した内容を文章に書き起こしたものになっている。
サマリーとして各章のタイトルを借りると、
1. わかりやすく話す
2. 人間関係がうまくいく話し方
3. 話すためのインプット
4. 日本語の面白さにハマる
5. 上機嫌で話すマインドセット
先に述べたように、この本は講談・対談の文字起こしなので、いわゆるHow To本のように、具体的なケーススタディに対して明確な回答が示されている訳ではない。どちらかと言えば、話すという行為における意識の持ち方とか、そういうアドバイスが多い。とは言え、安住アナの仕事に対する心構えとか実体験の紹介から話すという行為のエッセンスとかテクニックのヒントのようなものは随所に拾える。下記にほんの一部を抜粋しながら感想を書きたい。
人の集中力は15秒も持たない。このルールから、15秒をすぎて同じ話を続けてはいけないことがわかります。
安住紳一郎 出典:話すチカラ
人の集中力は15秒しか持たないから、15秒以内で話を伝える、もしくは15秒を一つの区切りとして話を構成する、というところから1章目は始まる。秒単位の時間管理をしながら話すというのは、アナウンサーはともかく、一般人はなかなか経験がないところだが、やっぱり大事だよなと思う。このブログを書いていても思うが、とりわけ俺は一度話すと冗長になるキライがある。要は構成力だが、原稿を用意できるようなスピーチの場合は特に、全体の内容だけでなく、この15秒目安の時間単位の中にちゃんと要点を放り込めているかを意識した方がいいかもしれない。
「えー」「あのー」を入れないことを強く意識すると同時に、話したい内容を明確に持つクセをつけることも重要です。
安住紳一郎 出典:話すチカラ
この手の本ではけっこうありきたりな話題のような感じだが、かと言って実際俺ができているかというとNOなので、やっぱり重要な点なんだろう。むしろ俺は普段の会話に意識的にノイズを放り込んでいるところまである。無機質な話し方が嫌いだから、人間味を出したいというのもあるし、元来カドが立つ物言いをする傾向があったので丸みを出そうと心掛けていた結果だと思う。それはそれでノイズの使い方としては正解なのかもしれないが、ノイズはあくまでノイズであって、こと情報を伝えるという目的においては意識的な排除が必要だ。自分の話し方のクセを知ることが肝要だと本書の中でも触れられているが、こういう本でも読まないと、なかなか自分の話し方に意識を向けることもない訳で、そういう意味では読んだ意義があったなと思う。
どんな業界でも、仕事でいいアウトプットをしたかったら、その3倍くらいのインプットをしておく必要があります。
安住紳一郎 出典:話すチカラ
あくまで、インプットはアウトプットをするための手段です。インプットが目的になってはいけません。
3章のこの辺は俺もブログを始めてからすごく共感する。伝えることを意識しながら情報のアンテナを張ることは、漠然と何かを見聞きするよりずっと効率的だという話だ。記事を書くというアウトプットを意識するようになってから、日々の情報のインプットにも意識がいくようになった。TwitterやFacebookのポストも原理として一緒に働くのかもしれないが、自分のドメインでブログをやった方がやはりアウトプットしなきゃという意識は強い。というわけで皆もブログやろう。(そして相互リンクしよう)
4章、5章のあたりは、話すチカラというテーマで言えば少し関連が薄い感じがしたが、話している内容はけっこう面白いので興味のある人は読んでみてほしい。
ところで、ここまで書いといてなんだが、実は俺は安住さんがどういう人かほとんど知らない。何故ってそりゃあ、秋田の山の中ではTBSの番組は放映されないからである。日テレとフジテレビで育ったような人間なので、秋田を離れてからも安住さんの番組を見る機会はほとんどなかった。名前はよく聞くので人気のあるアナウンサーなんだなくらいの認識でいたが。ただ、この本の文章を読んでも安住さんが話すことに関してのプロなんだなというのはどことなく伝わってきた気がする。繰り返しになるが、これは講談や対談を文字起こした本である。喋った一字一句が全て文になったわけではないと思うし、若干の編集もされていると思うが、各小項目への話題の入り方であったり、あるいは締め方であったり、そういうところにもやはりアナウンサーらしい技術があって、この本の読みやすさに現れているなと感じる。
ちなみに斎藤孝先生に関しては「全力!脱力タイムズ」で何度か拝見しているので存じ上げている。例によってフジテレビで、安住さんには申し訳ないが。