「税額は課税基準額以下でなければなりません」
会計伝票を転記する系のジョブスプールで見かけたエラーメッセージ。
なんというかこの…日本語としては正しいはずなのに、いまいち具体性に欠け妙に伝わらない文章から、感覚的に察するところではあるが、アドオンで開発されたものではなく、SAP標準として備わっているエラーメッセージである。
アドオンプログラム内で呼び出している、会計転記用のBAPI(SAP標準の汎用モジュールみたいなやつ)から返されたエラーメッセージのようだ。
で、どういう意味なの…?会計知識が乏しいこまちゃんとしては、税に関するエラーとか本当に勘弁してほしいのだが…。
いろいろと調査した結果、推定した発生原因をものすごく簡略化してまとめると以下の通り。
グループ企業A社からB社へ在庫商品の移動があったとする。
たとえばB社側から見た仕訳を仮にこんな感じとする。(仕訳①)
ちなみに、同じようなトランザクションがなんらかの理由で取り消された場合の赤伝票は、当たり前だが単純に賃借の科目が入れ替わったものになる。たとえば下図のような仕訳。(仕訳②)
仕訳①も仕訳②も、それぞれ単体として転記処理される分には全く問題ない。が、実際に保守しているケースだと、上流システムから黒と赤の取引が一緒になった伝票が送られてくることがある。大抵の場合はそれでも大丈夫なのだが、ある条件を満たすと問題が起きる。
上に示した仕訳①と仕訳②はまさに「混ぜるな危険」の組み合わせだったりする。
相殺分の金額をもうちょっと整理するとこんな感じ。
お分かり頂けただろうか…。
本来、仮払消費税というのは仕入に対してかかる税なので、賃借は一緒であるハズ。が、上記の仕訳は税額が逆転してしまっている。BAPIのパラメータに課税基準額という項目があって(この場合は売上原価の額)、転記時にはその基準額と税額を照合してエラーチェックをしており、そこで引っかかるらしい。
課税基準額の値が正(借)に対して税額の値が負(貸)の場合の表現として、「税額は課税基準額以下でなければなりません」というメッセージが、果たして親切な文章なのかというのは甚だ疑問ではあるが、まぁ理屈は分かる。
先に触れた通り、黒と赤それぞれ単体では正常な取引だから、一方ずつBAPIで処理させるような方針でリカバリすれば最終的に転記される金額は問題ない。
なんで税額が逆転するかといえば、1円未満の税額を切り捨てているからで、仮に四捨五入ならいくらか事象の発生確率は下がりそうだけども、まぁしかし商習慣的に切り捨てがメジャーだから仕方ないよな。
黒と赤をまとめて伝票にして送ってよこすなと上流システム側に文句をつけるというのも、向こうも向こうで事情があるだろうし、違うような気がする。
やはり諸悪の根源は…
消費税の存在そのものじゃないか…?
そもそも消費税がなければみんな幸せになる気がする…。